「何を実現したいか」から逆算する提案へ。サンプルボット体験から受注の型をつくった、新潟の印刷会社のデジタル提案|三条印刷株式会社様
公開日 2026/10/20
クラウドサーカス株式会社が提供する電子ブック作成ツール「ActiBook」と、AIチャットボット「IZANAI powered by OpenAI」を活用されているお客様の事例をご紹介します。
今回は、企画開発部の横山博之様と、関東ブロック営業部の高木敦様に、導入の経緯とその後の変化、そしてこれからの展望について伺いました。
横山 博之様(企画開発部 部長)/高木 敦様(関東ブロック営業部 統括部長)
三条印刷株式会社様
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会社概要とお二人の役割
――まずは、御社の事業内容とお二人のご担当について教えてください。
横山様: 弊社は新潟県を中心に、チラシやパンフレットといった商業印刷物の企画・制作を軸とする印刷会社です。県内5拠点に、東京に近い群馬県高崎市の拠点を加えた6拠点体制で、Webサイトや動画の制作、レーザー加工品の製造・販売まで手がけています。私が所属する企画開発部は制作部門で、デザインだけでなく、企画から入って制作を手掛けています。
また、環境省の国立公園オフィシャルパートナーにも選定いただいて現在5年目になりますが、国立公園の利活用や環境保全を推進する、地域に根ざした事業にも力を入れています。
高木様: 私は関東ブロック営業部で、群馬県内をはじめ、隣接するエリアと先程横山が話した国立公園に関わるエリアを、20年近く重点的にお伺いしています。
導入前の状況と、導入の決め手
――デジタルツールを検討される前は、どのような状況でしたか。
高木様: コロナ禍をきっかけに、直接お会いして打ち合わせをすることが難しくなって、オンラインの仕組みが一気に広がっていきました。
そうした変化のなかで、お客様への情報の届け方も見直されるようになりました。従来の折り込み広告よりも、SNS広告のように費用対効果や反応、行動ログを可視化できる施策への関心が高まっていきました。
単に届けて終わりではなくて、「その結果を次にどう活かすか」がより重要になってきたので、私たちも自然とそちらに重心を移していきました。
横山様: 営業からの制作依頼の内容を俯瞰すると、順番が入れ替わった感覚があります。以前は印刷物が主体で、Webサイトはその付随という位置づけでした。それが今は、Webサイトが主体で、印刷物がそこに連なる形です。コンペの表題も「プロモーション」を冠したものが増え、Webサイトやサイト運用が先に並ぶようになりました。
――社内では、どのような課題をお持ちでしたか。
横山様: 商材を扱うこと自体はできても、それを提案に落とし込むところが次の課題でした。以前にも別のデジタルツールを扱ったことがあるのですが、営業全体への広がりという点では、もう一歩というところがありました。
商材があっても、それをどういうふうに提案すればいいのかというところまで一緒に考えてもらえる仕組みがないと営業はなかなか動けず、「これをどうお客様に提案すればいいのか」まで一緒に考えてくれる仕組みが必要だと感じていました。 提案型営業ができる人材を社内に増やしていきたい、ということを一番考えていました。
――そのなかで、「Cloud CIRCUS for Creative」の本格導入と、AIチャットボット「IZANAI powered by OpenAI」の追加導入を決めた理由は何でしたか。
横山様: もともと「ActiBook」は長く活用していました。そこからWebARを、まずお客様に1年間契約してもらって、それをサポートしたという経緯があります。その流れで伴走支援までセットになったパッケージがあるという話を聞いて、「これならうちに合いそうだ」と考えました。
決め手は大きく3つあります。
1つ目は、商材単体ではなく、 お客様の情報発信やマーケティングの領域まで入り込めることです。 これまでの印刷やWeb・SNSに加えてCloud CIRCUS for Creativeも組み合わせることで、お客様の事業やサービスの価値を、より分かりやすくエンドユーザーへ届けられると考えました。
2つ目は、 提案型営業に対する伴走支援がセットになっていることです。 ここが一番大きかったですね。商材があり、それをどう提案するかを一緒に考えてもらえる。続けていけば、提案型営業そのものを社内で学んでいけるというイメージが持てました。
3つ目は、 お客様への提供価格やセットプランを自社で自由に設計できることです。 大規模なシステム開発をしなくても、電子ブックやCloud CIRCUS for Creativeを使って現場の小さな課題から手軽に提案でき、本業の印刷物やWebとシームレスに組み合わせられる点も魅力でした。
――その後、AIチャットボットも追加導入されたのですが、AIチャットボットについては、お客様からの引き合いが先にあったのでしょうか。
横山様: それが、ご指名での相談があったわけではないです。ただ、Webサイトをつくって終わりではなく分析が求められるようになり、対応すべきことが少しずつ変わってきていました。
引き合いをいただいてから準備を始めるのでは、間に合わないこともあります。 求められることが変わっていく流れのなかで、先行投資として手札を増やしておこうと考えました。
具体的な活用・提案方法
――営業チームが提案できる状態をつくるために、取り組まれたことを教えてください。
高木様: 大きく3つに取り組みました。
1つ目は、 業界別のサンプルボットです。 最初から詳細な企画書をつくるのではなく、短時間で用意したサンプルボットを実際に触っていただく形をとりました。
AIチャットボットをすでにご存じの方と、まったく初めてという方とで、反応がはっきり分かれます。資料からお渡しすると、なかなか読んでいただくところまで届かないのです。 実際に触っていただいて「こんなことをしてくれるのか」と分かると、そこから一気に話が進みます。
横山様: サンプルボットは、クラウドサーカスさんに教わった手順をベースに、生成AIを活用しながら自社で作成しました。あまり数が多くても伝わりにくいので、観光協会向けや医療向けなど5種類ほどに絞り込み、QRコードでその場ですぐ試していただけるようにしています。
高木様: 2つ目は、 営業ひな型とヒアリングシートの活用です。 ご提供いただいたチェックシートを使い、3項目ほどの質問でお困りごとを手短に伺えるようにしました。あらかじめ「こういうタイプならこの形」というパターンを用意しておくことで、その場で提案の輪郭までお見せできます。
そして3つ目が、 企画開発部によるバックアップです。
横山様: 営業同行や、サンプル・提案資料の作成を制作側から支える体制を整えました。いただいた資料をこちらでアレンジし、営業が「これを使ってみませんか」と話せる形にしています。
――社内で提案が回りはじめた実感はありますか。
横山様: 最近は営業本部長から「医療と観光協会向けの提案資料の下書きをつくってほしい」と依頼が来るようになりました。 社内から業界別の資料を求められるようになったのは、大きな変化だと感じています。
また対社内としては、自社の社内規程などを読み込ませたボットを、ActiBookの本棚サイトのログインが必要なクローズドな環境に設置し、運用の練習台にする試みも進めています。 まずは自分たち自身が使ってみて、「何ができるか」ではなく「どんな場面で役立つのか」を理解することを大切にしました。
導入後の変化・成果
――実際の提案では、どのような成果につながりましたか。
高木様: ひとつは、ある私立の教育機関様の事例です。オープンキャンパス向けの特設サイトにAIチャットボットを導入しました。
きっかけになったのは、以前から伺っていたお話です。先生方はとにかくお仕事の量が多くて、お問い合わせをしてもなかなかお返事が返ってこない、という状態でした。それから、対応される先生によって回答のレベルが変わってしまうので、そこを平均化していきたいというお話もありました。
加えて、ご家庭によっては、平日の日中にお問い合わせのお時間を取ることが難しく、メールでのご対応がとても多いと伺っていました。お送りしてからお返事が返ってくるまでのロスは、AIチャットボットがうまく補ってくれるのではないかと思いました。 ここが本当に大きなフックになりました。その課題を私たちもお客様も同じように理解できていたので、ご採用まではとてもスピーディーでした。
――導入後の反応はいかがでしたか。
高木様: イベント時にアクセスが集中しても、24時間タイムリーに自動回答できるようになりました。 導入の翌日がちょうどオープンキャンパスにあたり、その週末だけで250〜300件、1か月目は合計で約500件の会話が生まれました。 夏休みやお盆といった期間にも、継続して使われています。
興味深かったのは、ログを見ると先生方ご自身からの質問も寄せられていたことです。 回答の粒度を揃えたいという当初の狙いが、想定していた以上の形で機能したと受け止めています。
そして1か月目のログをお渡ししたところ、Webサイトのあり方そのものを見直していただく流れになりました。 今後の対策や課題の立て方まで含めて、学校全体で共有できる材料ができたのは大きかったですね。
――もうひとつの事例についても教えてください。
高木様: ある施設運営会社様の事例です。
こちらは首都圏の自治体が住民の方向けに運営している保養施設で、稼働率が非常に高い施設です。それに比例して、お問い合わせの量も非常に多い状態が続いていました。特に日中のお電話が多く、その対応がそのまま現場の負荷になっていました。
もともとWebサイトを弊社で制作していたお客様でしたので、どんな情報をご案内されているかは把握できている関係でした。だからこそ、サイトに情報は載っているのに、その都度お電話でご対応されている場面が多いという状況も、こちらから見えておりました。
であれば、サイト上でその場で答えが返る仕組みがあれば、双方の負担が軽くなるのではないか。 そういう切り口で提案しました。既存のWebサイトがあるぶん、読み込ませる情報もすでに揃っていましたので、すぐに始められる話でもありました。
――運用してみて、いかがでしたか。
横山様: ここでは、思いがけない副産物がありました。
運用のなかで、想定していたものとは少し違う回答が返ってくる場面がありました。調べてみると、原因はチャットボット側ではなく、読み込ませていたWebサイトの書き方にありました。利用対象の範囲が2か所に書かれていて、AIはページの先に書かれているほうの情報を拾いやすかったのですね。
人がつくったページですから、書き方に少しゆらぎが出ることはありますよね。それが、AIに質問を投げてみてはじめて見えてきました。 チャットボットを整えようとしていたら、いつのまにかWebサイトの見直しにつながっていたわけです。
高木様: 結果として、サイトの改善という次の提案にもつながりました。この施設をどう広めていくか、稼働率をどう高めていくか。 AIチャットボットのログをヒントに、これからさらに提案できることが見えてきています。
――社内の営業スタイルには、どのような変化がありましたか。
横山様: 伴走支援していただいて、定期的に「今どうですか」と声をかけてもらえることが、思っていた以上に効いています。
私自身も、「こんなことをやってみた」ではなく 「こう考えて、こうやってみた」という過程まで社内に伝える よう意識してきました。そうした積み重ねもあって、デジタル提案へのハードルは以前より下がってきたのではないかと感じています。
高木様: お客様のところで話が広がって、帰ってきて「では次はこれを持っていこう」と、テンポよくキャッチボールできる状態になってきました。 引き出しが増えたという実感があります。
紙よりもデジタルのほうが得意分野だという若手の営業もいますので、そうしたメンバーの力も借りながら、お客様により良いものを届けられるようになってきました。ここはまだまだ伸びしろがあると思っています。
――提案の考え方そのものが変わった、ということでしょうか。
高木様: 一番変わったのは、 考える順番かもしれません。 以前は「何を印刷するか」から入ることが多かったのですが、今は 「何を実現したいのか」から逆算してヒアリングするようになりました。
手段はこちらで選べます。目的に対して印刷以外のほうが合っているなら、率直にそうお伝えする。そのほうが結果も見えますし、お客様とも話しやすくなりました。
そしてこれは、弊社の事業価値というよりは、お客様の目線に立った事業価値だと考えています。これまでやってきた印刷という事業だけでなく、 お客様の事業のなかまで入り込んで、そこで価値をつくっていきたいと思っています。 たとえば環境価値をどう考えるかといったテーマも、「私たちと一緒にやりましょう」と提案できる領域だと捉えています。
――提案の材料という点で、AIチャットボットならではの手応えはありますか。
高木様: 質問ログがお客様のリアルな悩みを可視化してくれることは、想定以上の収穫でした。 これまで感覚で語られていたことが、数値とテキストで残るようになりました。エンドユーザーが何を考えているかをここまで言語化してくれるものは、なかなかありません。
そうすると「次はこんなパンフレットやWebコンテンツをつくりましょう」と、次の提案につなげられる。 単一の商品をお勧めするのではなく、お客様と一緒に次の一手を考える関係になってきています。
クラウドサーカスの支援について
――クラウドサーカスの支援で「ここはよかった」というポイントを教えてください。
横山様: まず、営業の進捗を管理するシートで、やりかけていることも、まだ手をつけられていないことも見える化されたことですね。これは地味なようで効きました。他社の事例をいろいろ教えていただいたことも、進め方の参考になっています。
そして一番ありがたかったのは、 ツールの中に閉じない使いこなしを教わったことです。
AIチャットボットへの指示が思うように効かないとき、自分で書き直しても、どうにもならないことがあります。そのとき、 生成AIに指示文そのものを整えてもらうという方法を教わりました。 整えてもらったものを見ると、「こういう順序で書けば、きちんと汲み取ってくれるのか」と分かります。そこからは自分で書き換えられますし、行き詰まったらまた丸ごと投げて整えてもらえればいいんだなと思いました。
この発想が自分にはあまりなかったので、非常に嬉しかったですね。 ツールの操作方法ではなく、AIとどう付き合うかを教わった感覚です。
高木様: 短い期間で決めなければならない場面で、企画書の流れの支援がすぐに出てきたことも大きかったです。こちらからお願いしたことへの回答が速くて、引き出しも多いですね。しかも、それが担当の方のあいだできちんと引き継がれていて、必要なデータまで出てきます。本来であれば弊社の中心になる人間が自分で走らせていかなければいけない部分なのですが、 そこを一緒に補っていただけているのは本当にありがたいですし、今の私たちの強みにもなっていると思います。
今後の展望
――今後、このツールをどのように活用していきたいとお考えですか。
横山様: 課題解決のイメージが湧きやすいAIチャットボットの提案を通じて、 営業メンバーに「課題解決の提案をして喜ばれる体験」を積んでほしいと思っています。 そうした成功体験を重ねることで、社内に提案型営業ができる人材を増やしていきたいですね。
これまでは「印刷物をつくりましょう」という提案が中心でしたが、これからはWebやAIも含めて、 お客様の目的に合わせてどう伝えるかを一緒に考える提案になっていくと思います。 そこはもっと広げていきたいですね。
高木様: 運用面では、蓄積したログを分析する仕組みを整えていきたいと考えています。 ログをAIに読み込ませて分析するところまでできれば、お客様にもっと踏み込んだ提案ができるはずです。
――最後に、同じように取り組みを始めようとしている印刷会社の皆さまへ、一言お願いします。
高木様: まずは自分たちで触ってみることだと思います。サンプルをひとつ作って営業に持たせてみる。それだけで、お客様との会話の入り口が変わります。 私たちも、最初から完成された提案書があったわけではありません。
そして、 紙とデジタルを別々のものとして考えないことです。 それぞれの強みを活かしてひとつのコミュニケーションをつくると捉え直すと、本業との相乗効果も生まれてきます。 お客様の「何を実現したいか」に一緒に向き合える。そのための選択肢が増えたことが、私たちにとって一番の変化でした。
――ありがとうございました!
活用支援担当者より
担当着任以来、デジタル施策を次なる事業の柱としてスピード感を持って形にされる姿勢に日々感銘を受けております。 毎月の定例ミーティングでは拠点を超えてご参加いただき、「既存の提案にプラスアルファの価値を添えられないか」と常に熱意をもって取り組んでくださっています。 直販実績が確かな受注成果へと結びついていることを大変嬉しく思います。 今後も地域を牽引するパートナーとして、既存ツールを含め成果創出へ向け全力でご支援いたします。
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