Cloud CIRCUS 広報部
チャットボット(Chatbot)とは、「チャット(Chat)」と「ボット(bot)=ロボット」を組み合わせた言葉で、人間の代わりにテキストや音声を使って自動的に会話を行うプログラムのことです。
チャットボットの作り方には、「自社開発」「チャットボットツールを使う」の2種類の方法があります。自社開発は、他社にはないオリジナルの機能やデザインの設定が可能です。チャットボットツールを使えばプログラミングができない初心者も簡単に、短期間で運用が開始できるため、チャットボットを導入する企業が急増しています。
この記事ではチャットボット2種類の作り方とメリット・デメリットのほか、チャットボット運用までに必要なステップを紹介します。
目次
チャットボット(Chatbot)とは、「チャット(Chat)」と「ボット(bot)=ロボット」を組み合わせた言葉で、人間の代わりにテキストや音声を使って自動的に会話を行うプログラムのことです。人と人同士が会話するチャットに対して、「チャットボット」はコンピュータと人が会話を行います。
チャットボットの主な役割は、「社内ヘルプデスク」「カスタマーサポート」「マーケティング支援」の3つに分類できます。ユーザーがチャットボットに問いかければ、簡単に問題解決の糸口をつかめるようになるだけでなく、導入企業側にとっても大幅な業務効率化を実現することが可能です。
関連記事:チャットボット(Chatbot)とは〜基礎知識から仕組み・チャットボットの種類・活用シーンなどわかりやすく
チャットボットを作るにはまず、導入の目的と用途を明確にして、チャットボットを利用するプラットフォーム(LINE、Facebook、Webサイトなど)を決めるところから始めます。
全てが決定したら、次はチャットボットを自社開発(自作)するのか、チャットボット作成ツールを使って作るのかを決めましょう。どちらを選ぶのかでこの後の手順が変わります。
では以下で、実際に自社開発する方法とチャットボット作成ツールを使って作る方法を詳しく紹介します。
まずは自社で開発する方法と、そのメリット・デメリットを紹介します。
自社で開発する方法は以下3つがあります。
自社で独自のチャットボットを開発する場合、プログラミングに使用する言語はPythonが良いと言われています。機械学習に関するライブラリやディープラーニングに関するライブラリがたくさんあり、チャットボットと相性が良いためです。ただし専門的な知識と高度な技術が必要なため、専任の担当者がいない場合は、技術者を雇用するかアウトソーシングする必要があります。
全てを自社で開発しようとするとコストや時間がかかるため、フレームワークの利用やAPIの活用がおすすめです。開発工数が削減できます。
フレームワークとはアプリやシステム開発のための機能が用意されている骨組み(テンプレート)のこと。チャットボット開発フレームワークを使えば、一からプログラミングをする必要がありません。コーディングが簡略化できるため、初心者でもチャットボットの開発が可能です。
SNSやSlack、Webでも使える、アプリケーションにこだわらないチャットボットが作成できます。
APIは「外部ツールやサービスと接続するための仕組み」のことで、アプリ開発を簡単にするためのソフトウェア資源のことを指します。LINEやFacebookなど特定のプラットフォーム向けのチャットボットを開発したい人におすすめです。
フレームワークと同様にプログラミング言語を使い一から作る必要がありません。プラットフォームに合わせたAPIが提供されているので、簡単なチャットボットならすぐ使えるようになります。
チャットボットAPIは主に以下のプラットフォームで提供されています。
APIのなかにはGoogleアカウントがあればすぐに始められるチャットボットなど、無料で手軽に導入できるものもあります。チャットボットの雰囲気を体験してみたい人は、とりあえずAPIを使ってみるのも良いでしょう。
実際に自社開発する場合のステップを紹介します。
チャットボットの構築は次のような流れで開発を進めます。「1:APIやフレームワークを使うのかなどの開発ツールの選定」「2:会話のシナリオを設定」「3:プログラムを組む」。
自社開発をする場合は、この一連の流れで進めます。チャットボットは作って終わりではありません。構築した段階では完璧な受け答えやユーザーのニーズを網羅することが難しいため、使う中でブラッシュアップする作業も重要です。
ブラッシュアップしたいけど「なかなか使ってもらえず改善点が見えない」という場合もあるため、使ってもらえるような施策も同時に考えていきます。
他社にはない機能や、自社製品・サービスに最適な機能を持つチャットボットが作れます。 デザインや機能が柔軟にカスタマイズできるため自社ブランドに合わせたものが作れるのもメリットです。また数種類のチャットボットを開発できます。
自社開発では高い専門知識と技術が求められます。AIを使いたい場合は、自然言語処理といった特殊な知識が必要になるのもチャットボットの特徴です。そのための人材確保や育成は簡単ではありません。
もともと自社で優秀な人材を確保している場合はスムーズにスタートできますが、それでも一から開発すると時間がかります。AIを取り入れる場合は開発に半年以上を費やすケースも少なくありません。また自社開発の場合、導入後のトラブル対処も自社で行う必要があります。
難しいチャットボットを開発した場合、中核を担っていた社員が辞めるとメンテナンスが不可能になる場合もあります。
知識や技術を持った人材がいない場合は、次で紹介するようなチャットボット作成ツールを使って始めるのがおすすめです。
チャットボットツールはIT企業により開発されたチャットボットのことを指します。利用すると継続費用はかかりますが、導入時にプログラミングの知識は不要です。導入後に自社でシステムメンテナンスをする手間も要りません。
チャットボットツールには「AIチャットボット」と「シナリオ(ルールベース)型チャットボット」の2種類があります。
AI型は学習されたデータを元に、会話内の単語から自動的に返答を考えるチャットボットです。シナリオ型よりも幅広い回答ができ、複雑な質問にも答えられます。自己学習し精度を高めるため、まるで人と会話をしているような自然な対応も可能です。導入費用はシナリオ型よりも高めで、大体20~150万程度のものが多いようです。
関連記事:AI(人工知能)チャットボットとは?シナリオ型チャットボットとの違い、メリット・デメリット、活用事例までわかりやすく解説
シナリオ型は作成したシナリオ(ルール)に沿って自動で会話を進めるチャットボットです。導入する場合は事前にユーザーからの質問を想定し、回答を作成する必要があります。
費用は月額1万円~提供されているものが多く、FAQ程度の内容であればそれほど時間をかけずに導入できます。ただしルール通りにしか回答できません。またシナリオ作成を委託したり、外部連携機能を搭載したり、デザインをカスタマイズしたりと、オプションを付ける場合はプラスして費用がかかります。
関連記事:シナリオ(ルールベース)型チャットボットとは~AIとの違い、メリット・デメリット、活用事例までわかりやすく解説
チャットボットツールを利用すれば、専門知識や技術がなくても簡単にチャットボットを作れます。シナリオ型チャットボットなら、テンプレートに沿ってFAQの設定をするだけで運用が開始でき、短期間で導入できるのが特徴です。導入から運営まで手間も時間もなるべく削減したい人にピッタリなツールでしょう。トラブル対応やメンテナンスも自社で行う必要はありません。
チャットボットツールを使う場合、月数万程度、継続的に利用料金が発生します。AI型を導入する場合は月額10万円を超えることも。利用する企業により機能や導入の速度、手間が変わるため、自社に最適な企業を選ぶことが重要です。そのため、選定に時間がかかるかもしれません。
チャットボットツールを使う場合、メインとなるのはシナリオの作成やデータを覚えさせる作業とロボットの設定です。設定の複雑さにもよりますが、シナリオ型の場合、準備期間は1か月程度を想定しておきましょう。
AI型は膨大なデータのインポートが必要なため、数か月~半年程度かかる場合もあります。
またチャットボットツールで作る場合、以下3点を意識するのがポイントです。
知りたい回答になかなかたどり着けなかったり、自分に当てはまる選択肢がなかったりする場合、利用者は減っていきます。知りたい情報にすぐアクセスでき、ストレスなく利用できるようにシナリオはしっかり練りましょう。
有人切り替えを可能にするのもポイントです。ユーザーが満足する回答をチャットボットだけで網羅できるとは限りません。有人対応への切り替えを可能にして、簡単・単純な質問をチャットボット、難しい質問は人が対応と役割分担をして、互いに補いながら運用するのがおすすめです。
チャットボットは完成後、ブラッシュアップが必要なため社内で運用できるように体制を整えておくことも大切です。抱えている業務で手いっぱいの場合、運用代行やサポートの利用を検討しましょう。
設定したルールに沿って回答するシナリオ(ルールベース)型チャットボットか、ロボットが最適な回答をする柔軟性のあるAI型チャットボットか、どちらが自社に最適なのかを考えて選びましょう。
シナリオ型チャットボットのほうが予算が安めで短期間で導入できます。AI型チャットボットは費用が高めで導入まで期間も必要ですが、幅広い受け答えと柔軟な対応が可能です。
チャットボットツールのなかには「よくある質問」など、シナリオのテンプレートを用意しているものがあります。チャットボットを作成する際に最も重要で、最も時間がかかるのがシナリオの作成です。そのテンプレートがあればゼロから考える必要がなく、より簡単・スピーディーに導入できるでしょう。
本格的な導入の前にお試しで運用ができるかどうかも重要なポイントです。チャットボットは細かなシナリオ設定が必要なので、導入してみて、ダメだったらすぐ別に乗り換えるのは現実的ではありません。契約してみて、「ほしい機能がなかった」あるいは「機能が多すぎて使いきれない」ということもあります。
お試しで利用して使い勝手を確かめてから導入するのがおすすめです。ツールの中には、無料でお試しできるものがあるため、実際に利用して使用感を確かめておきましょう。
初めてチャットボットを利用される方の場合、ベンダー企業に有人サポートがあるかどうかも重要です。困ったときにすぐ質問できたりレクチャーをしてくれたり、手厚いサポートがあるかどうかも確認してください。サポートが充実していれば、疑問がすぐに解消できストレスなく導入できます。
サポートは主に「マニュアルを提供され自力で設定する」無人のサポート、「専属スタッフが付く」「電話で回答」などの有人サポートに分けられます。求めるサポートがあるか確認しましょう。有人サポートのほうが安心ですが、依頼する場合は追加料金が発生することもあります。
チャットボットツールを導入する場合、ベンダーとは長期的な付き合いになります。「何かあれば連絡すれば良い」という安心感が持てる企業を見極めましょう。
定期的にアップデートやメンテナンスがある企業は、トラブルがあってもすぐに対処してくれるので安心です。ベンダーによりますが、今後新しい機能が追加される可能性もあります。
他ツールと連携できるチャットボットなら、さまざまなシステム・アプリを一括して管理できます。複数のアプリやシステムを導入している企業は、他ツールとの連携機能も確認しておきましょう。
初心者でもわかりやすいように、チャットボットを運用するまでに必要なステップを紹介します。
まず始めに「サポートセンターへの問い合わせを減らしたい」「人件費の削減」「売上の向上」「顧客満足度の向上」など、チャットボットを使って何をしたいのか、導入の目的を決めます。また目的を実現するにはLINEやWeb、Facebookなど、「どのプラットフォームを使うべきか」「本当にチャットボットが必要な場所はどこか」も明確にしましょう。
次に「ユーザーが求めるサービスとは何か?」顧客ニーズの調査をします。過去にどのような問い合わせが多かったのかを分析し、重要度の高さで分類する方法がおすすめです。日頃ユーザーと接しているスタッフから話を聞くのも良いでしょう。 同時にペルソナも設定も行います。ユーザー像が具体的になれば本当に必要とされているものを見つけやすくなり、今後おこなうシナリオ作成もスムーズに進められます。
シナリオ型かAI型かを選択しましょう。製品トラブルや商品に対する質問、ログイン方法、送料など、ある程度質問される内容が決まっている(絞り込める)場合は、シナリオ型が向いています。 AI型は回答が絞り込めず、複雑化する場合に向いています。例えば、商品点数が多いECサイトで使いたい場合や、社内からの多様な問い合わせを一括でコントロールしたいときなど、対応の幅が広い場合はAI型が良いでしょう。
自社開発かチャットボットツールを使うのかを決めます。予算、ほしい機能がベンダーにあるか、専門知識を持つ人材が自社で確保できるかどうかなど、自社のITリテラシーに合わせた選択をしてください。
ベンダーの場合は企業により導入期間やサポート体制が異なるため、詳細まで確認し、比較しておくのがおすすめです。
チャットボットに組み込むためのフォーマット(Q&A)を準備します。②で考えた顧客のニーズ・ペルソナを参考に、「こんな質問が来るだろう」「こんな疑問を抱くだろう」と想定して質問事項を洗い出しましょう。過去の問い合わせや既に掲載している「よくあるお問い合わせ」などの欄から、必要なQ&Aを抽出する方法でもOKです。
チャットボットからの質問は多くて5つ程度。それ以上はユーザーがストレスを感じるため、なるべく短い質問で知りたい情報にたどり着けるよう設計してください。
チャットボットを設置するページと、そのページのどこに表示させるのか(位置)を決めます。ユーザーが疑問を解消したいと思うタイミングで表示するのが最適です。存在に気がつかなければ利用されないため、わかりやすい場所に設置してください。
ユーザーが求めていない場所にチャットボットが表示されたり、目立ちすぎたりするとサイト全体の印象や利便性が低下するため、本当に必要な場所を見極めましょう。
シナリオと設置ページや位置を決定したら、実際にチャットボットの構築と設置に入ります。 シナリオデータを元にチャットボットを構築する過程は、自社で行うことも、ベンダーがおこなうこともあります。初期構築は、今後の動作を決める重要な土台となるため、チャットボットに精通した人にサポートか対応をしてもらうと良いでしょう。
設置方法はベンダーによって異なりますが、専用タグの挿入かチャットツールなどと連携して設置するのが一般的です。
設定が完了したら、テスト運用をします。シナリオ型はクリックして最終回答までスムーズにたどり着けるかどうか、AI型はキーワードを入力して正しい回答が返ってくるかを確認し、上手くいかない箇所を調整してください。できるだけ複数人でテストをして見落としがないようにしましょう。
全てが完了したら、いよいよチャットボットの公開です。公開してもなかなか利用されないケースが多いため、ユーザーにチャットボットの公開をアナウンスしたり、サイト上にお知らせを出すなどして利用を促し、使ってもらえるように工夫しましょう。
チャットボットの運用を開始したら、利用者情報やユーザーの意見を参考に質問の精度をチェックして、定期的にメンテナンスをおこないます。ユーザー数やチャット数、チャットの返答率、解決・未解決率などを分析し、PDCAを回してチャットボットの精度を上げていきましょう。
チャットボットは自社開発とチャットボットツールで作成する方法の2種類があるとお伝えしましたが、それぞれメリット・デメリットがあるため、自社に最適なものを選びましょう。以下でチャットボットの作り方を比較し、特徴を表にしたので参考にしてください。
APIを使う | フレームワーク を使う |
チャットツールを使う | |
---|---|---|---|
導入コスト | ○ | △ | △ |
運用コスト | ○ | △ | △ ※チャットボットの種類に よって異なる |
専門知識 (プログラミングスキル) |
△ | × | ○ |
設計の自由度 | × | ◎ | ○ |
導入スピード | △ | × | ○ |
プラットフォームの 横断 |
× | ○ | ○ |
一見APIがよさそうに見えますが、自由度は他二つに比べ圧倒的に劣ります。LINEやFacebookなどの、ひとつのプラットフォームで単純な運用をするならAPIが良いでしょう。しかしそれ以外の場合はチャットボットツールを使うのがおすすめです。
チャットボットツールを使うなら、まずは無料で体験できるものを選びましょう。おすすめはずっと無料で使えるフリープランがある「IZANAI」です。メールアドレスと基本情報の入力だけで始められます。
フリープランで物足りなくなったら後から必要な分だけ課金して機能の追加が可能です。興味がある方は利用してみてください。